【funk ojisan 0.1w アンプ用スピーカー選び】その1:ギター用スピーカーって何なの?を調べてみた
我が家では一年前に作って頂いたfunk ojisan 0.1w アンプが夜な夜な活躍しております!
で問題はこの素晴らしい0.1wアンプに合うスピーカーです。
funk ojisanの動画でも聴ける通りギター用のスピーカーに接続するとめちゃ良い音がするのですが、せっかくの超小型真空管アンプですので、スピーカーも出来るだけ小型にしたい、ということで色々調べたことを記事にさせて頂きます。
まずはギターの音域を把握する
ギターの音を再生するにはどのくらいの周波数帯域が必要かということを調べて見ます。
まずイシバシ楽器のHPにギターの基音の周波数が説明されています。82Hz〜1.2Khzということですね。
しかし、ギターは基音と同じくらい倍音が出ていますので、実際のPAでカバーする周波数帯域についてググったらすぐにこんな回答が出て来ました。
主な周波数帯域は80hz~13khzで鳴り方や演奏によって中心が変わります。400Hz〜800Hzに胴鳴り、1Khz〜2Khz辺りにコード感、2Khz〜5Khz歪みがあります。
Via: Tokyo Guitar Press バンドのバランス【楽器ごとの周波数帯域】
ということでギターの特徴的な倍音は2Khzを中心に、1Khzから5Khzを美しく再生できればいいということですね。
スピーカーは中域以上は分割振動領域らしい
日本を代表するスピーカーメーカーであるFOSTEXの記事をみると、この例はウーファーのようですがスピーカーは基本的にある以上の周波数は分割振動によって再生するということが書かれています。
でこちらがFOSTEX FE206NV 20cmフルレンジスピーカーの周波数特性です。ギター用のスピーカーみたいに12インチ(30cm)のようなフルレンジスピーカーは珍しく大体20cmが最大のようですね。
1.5Khzあたりで中域の谷があり、それ以上で分割振動領域ということでしょう。
20cmという大口径でこの領域まで再生出来ているのは分割振動を上手く使っているということですね。
ということでまさに1Khz以上が中心となるギター用のスピーカーはおそらく分割振動領域を使ってギター音を出しているらしい(仮定ですが)ということが予測できますので、各メーカーのスピーカーが本当にそうなっているのかを見てみます。
CELESTIONのスピーカーの周波数特性
セレッションは沢山製品があるのですが、今回は12インチのアルニコスピーカーを観察してみたいと思います。
セレッションのアルニコスピーカーはデザインがいいですね。
セレッションのアルニコ12インチはこの4機種ですが、どれも能率100dbでフレームも同じようで特性も似ていました。なので代表としてCelestion Blueの特性を見てみます。(他の4機種似た特性でした)
周波数特性はこちら。
中域の谷が1.5Khzあたりに見え、その後の能率がぐんと高くなっていますね。そして5Khz以上は能率が急激に下がります。
なんなくですが300hzあたりに最初の谷があるようにも見えますので、分割振動はこのあたりから始まっているのかもしれません。
ということで、分割振動を利用して1.5Khzから5Khzのギターの倍音を強調するのがギター用スピーカーの特徴ということですね。
EMINENCEのスピーカーの周波数特性
EMINENCEはLEGENDシリーズの12インチスピーカーを調べてみます。たくさんありますねw
1258を調べてみることにしましたが、他のセレッションLEGENDシリーズも似たような周波数特性でした。
こちらがLEGEND 1258の周波数特性
これはセレッションのスピーカーより更に特徴的な周波数特性ですね!
やはり300hzあたりから分割振動が始まっているようですが、2.3Khzのピークが飛び抜けていているという超個性的なスピーカーですね。(オーディオスピーカーではあり得ませんねw)
基音の400hzが96dbなのに対しピークの2.3khzあたりが108dbなのでその差はちょうど12db、つまり400hzより2.3Khzが4倍も音量がデカいということですね。
もうこれはセレッションのスピーカーもそうでしたが、更にギターの倍音再生に特化したスピーカーということですね。
Jensen のスピーカーの周波数特性
Jensenのアルニコスピーカーと言えばPシリーズですね。
P12Qを調べてみました。
こちらがJensen P12Qの周波数特性です。
P12Qも300Hzから分割振動が始まるようですがピッタリ2Khzがピーク(107db)のようです。そこからちょうど5Khzまで能率が高いことが窺われます。
エミネンスのスピーカーはここに更にピークがありましたが、Jensen P12Qはギターの美味しい領域を広く再生出来ているのが素晴らしいですね。
で、更にJensen P12Rの方も見てみました
やはり300hzあたりから分割振動が始まりますが、2Khzをピークにして300hzから5Khzの領域で綺麗な三角形を描いているということですね。
他のスピーカーが1Khzと2Khzの間の領域に谷の部分が発生するのに対しP12Rにはそれがありません。
これはコード感と歪み感がどちらもバランスが取れて更に広い領域に対応しているということですね。ギターの用スピーカーのお手本かもしれません。
同じJensenのアルニコで外観も同じなのに特性を変えているのが面白いですね。
ギター用12インチビンテージスタイルスピーカーまとめ
セレッション、エミネンス、ジェンセン3つのビンテージスタイルのスピーカーを見てみましたが、3社それぞれ個性が別れているのがとても面白い結果でした。
- SELESTION Blue – ピーク 3Khz (2K〜4Khzが得意)
- EMINENE LEGEND 1258 – ピーク 2.3Khz (2K〜3Khzが得意)
- Jensen Alnico P12Q – ピーク 2Khz (2K〜5Khzが得意)
- Jensen Alnico P12R – ピーク 2Khz (1.2Kh〜5Khzが得意)
でここまでは周波数特性を見ただけのお話ですので、YouTubeにアップされている動画も聞いてみました。
Jensen P12Q vs SELESTION BLIUE の動画と、Celesion vs Jensenの動画がありました。やはり同じ12インチでも個性が違いますね!
ギター用スピーカーの基本特性まとめ
ということで、ギター用のスピーカーはオーディオ用のフルレンジスピーカーとはまったく異なる特性となっていることが理解できました。
- 2Khz〜3Khzを強く再生(基音の領域よりも2倍〜4倍の音量)
- 高域は3Khzあるいは5Khz以上は切り捨てる
- このような特性は300hz から始まる分割振動を使って演出されているので各社各モデルで個性が大きく出る。
ということで、基本フラットで高域まで再生することを目指しているオーディオ用のスピーカーをギターアンプに付けても、ギターとして良い音がしないということですね。
そしてギター用スピーカーは分割振動というそもそも解析やチューニングが難しい領域が使われますので、各メーカーの考え方や経験、そして音の方向性が強く出てしまうということで、オーディオ用スピーカーより音の差が判りやすいということですね。
で、このようなギター用スピーカーはそもそも10cmくらいの小型スピーカーで実現できるのでしょうか、、、、
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