Jazzcasterが組み上がったので生音で弾いてみたらヤバかった
ネックとボディのジョイント、ブリッジのペグの取り付けが終わったので、ピックアップを付ける前に生音で鳴らしてみました。
演奏未熟ですいません。。。
が、個人的にこんなに鳴るなんて思ってもみませんでした。
まるでセミアコみたいにアコースティックで、音量の大きい音が出るとは思ってもみませんでした。
音量が大きいと言っても、よくある安い中古のバリ鳴りギターのように各部がユルユルになっていて結果的にものすごく振動しているのとは違う感じです。
なぜ鳴っているのかを考えてみました。
Jazzmasterのボディ構造とザグリって
Jazzmasterってフロントピックアップの上側と、下側に大きなザグリが入ってます。
ちなみに、こちらがJguarのビンテージボディのザグリ。
Jazzmasterに対して、Jaguatは出来るだけザグリが少ない構造をしています。
こうやって見るとJazzmasterは意図的にザグリの面積を増やすことでシンライン的な鳴りを出しているのでは?と思ってしまいました。
やはりJazz用のギターとしてのルーツを持っているからでしょうか?
ストラトキャスターもザグリが大きいのですが、前と後ろのザグリに分かれていること、また一番の違いはネックジョイント部のザグリは少ないという違いがあると思います。
更に私が購入したボディはセール品だったのでHHHピックアップ配列のザグリになっていますので、ボディ上部の空洞がかなり大きいと言えると思います。
ボディ材を考える
ボディはワンピースのアルダーです。
ワンピースの方が2ピースや3ピースよりも鳴りが良い、とは言い切れませんが、感覚的には響きが良いと感じています。
ネック材はシャフトウッドがゴンカロアルベス(Goncalo Alves)で、指板材はパーフェローです。
ネック材を考える
Warmothのサイトに各材の特製の情報が掲載されていますので、比較の為にメイプル、マホガニー、インディアンローズウッドも合わせて魚拓してみました。
ネックシャフト材 – ゴンカロアルベス
トーンOメーターを見るとウォーム寄りの材ですが、マホガニーやローズウッドよりもやや明るい音を持っているようです。
また、説明を読むと、明瞭でクリーンかつウォームなトーンは絶賛しており。全体的にバランスも良い。また見栄えも良いということでトーンウッドとしてかなり優れたネック材のようです。
実際にネックから伝わって来る振動は、確かにウォームなのですがマホガニーよりもかなりドライな感じがします。
メープルやマホガニーよりも音があまり減衰しない感じです。
こんな素晴らしいゴンカロアルベスですが一部のアコースティックギターのボディ材などに稀に使われている一方で、フェンダーやギブソンのギターではあまり聞かない材ですね。
指板材 – パーフェロー
トーンOメーターを見るとネック材の中ではブライトな音質を持つことが判ります。
説明には、トーンはローズウッドよりもブライトでエボニーよりもウォーム。歯切れが良く、豊富なアタックを持つ。Warmothのフレットボード材の中でもお気に入りの1つと書かれています。
個人的な感想ですが、トーンOメーターはだけ見るとメイプルはかなりブライトですが、エボニーやパーフェローのような岩のような密度を持つ木材のブライトさとは意味が違うような気がします。
メイプルはより減衰特性が高いというか振動を受け止めることでガッツが出るという感じに対して、エボニーやパーフェローは振動をそのまま伝えるような感覚です。
ということでウォームかつ明瞭なゴンカロアルベスと、アタックが強くブライトなパーフェロー指板の組み合わせ、これはなかなか良い塩梅なのではと思いました。
普通のフェンダーのネックはブライトなメイプルとウォームなローズウッドの組み合わせが多いのですが、それとちょうど逆の関係となっているのが更に異なるフィーリングを感じる要因だと思います。
Warmothの接着フレット
Jim DUNLOPの6100フレットですが、 DUNLOPのフレットはニッケルワイヤの中でもやや固めのような気がします。
更にWarmothのフレットは接着剤によって固定されています。これも素晴らしい振動を得る秘密では無いかと思います。
というのもYoutubeでボディのリフィニッシュやフレット打ち替え動画を公開されている方によれば、熟練した人でも全てのフレットを指板のRに合わせて完璧に密着させるように打つのは至難の技ということです。
対してフレットを接着すると指板に密着してより安定して音が良くなると書かれています。(接着を推奨されているわけではありません)
【追記】 Freedom Custom Reserch様のウェブマガジンにも同様のことが書かれていました。
接着する事での音の効果:フレットのブレが少なくなる為、音の芯を逃さず各フレットの音のバラつきも少なくなり、サスティーンが期待できるのもポイントです。
Via : More FREEDOM – ワンランク上の楽器に変身!“F.C.G.R.流フレット交換”
塗装
ボディは自家製ですが厳選した(今では売っていない)ニトロセルロースラッカーです。
それが20年経過して細かいウェザークラックが入るくらい硬化していますので悪い筈は無いと思います。
ネックはXotic Gel オイルフィニッシュですが、ウォームな特製のゴンカロアルベスはオイルフィニッシュが向いているのではと思います。
Warmothでも推奨しています。
ちなみに個人的にはメイプルネックはラッカーよりもポリウレタンの塗装が好きです。
20年のエイジング
ボディも、ネックも20年前に購入したものです。
塗装も含めてこの20年のエイジングも少なからず影響を与えていると思います。
Wilkinson VS100N ブリッジ
これまでVS100Nのギターを使ったことが無かったので、モダンなトレモロとしてフロイドローズのように無機質な音になるのでは?と予測していました。
しかしこのブリッジはボディとのレゾナンスという点で素晴らしい特性を持っているのではと感じました。
通常のストラトやテレキャスターのブリッジは面でボディと接触していると思います。
面で接触しているということは(レコード針のように)効率よく振動が伝わらないということになると思います。(それがストラトやテレキャスターの個性だと思います)
一方でVS100Nは2本のスタッドボルト、更にナイフエッジという点で接触している構造です。
チューンOマチックブリッジも2点ですが、弦のテンションはテールピースで受け止められており、ブリッジはボディには比較的弱い力で押さえつけられています。
対して、VS100Nは弦のテンション+トレモロスプリングのテンションによって、そのナイフエッジ部分がなかり強い力で抑えられていることになります。
更に、ブリッジのコマはボルトによってしっかりとプレートに固定されていますので、ボディと弦の振動が良く伝わる構造になっています。
そしてそのプレートは比較的単純な板形状なのも心地良いレゾナンスを付加していることになると感じています。
良いブリッジは弦振動を良くボディに伝えると言われていますが、私の感覚では、逆にボディの振動を弦に伝える役割も大きいと思います。
そういう意味ではボデイに2点で強く押さえつけらているこのブリッジは、弦とボディのレゾナンスが最も強く起こる構造なのではと思います。
このようにWilkinson VS100N ブリッジの音があることが感じられたのはこちらの、デジマートさんがアップしたKigoshi Guitarのプロモーション動画
なんとなく、私のJazzcaster(仮称)もこの系の音がするんですよね。
木越ギターのサイトを見ると、Jazz寄のギターにVS100Nブリッジが使われているモデルがラインナップされているのが興味深いです。
いかがでしょうか?
ということで、私のJazzcasterは、Stratocasterでも無く、Jazzmasterでも無い独自のサウンドを出してくれる予感がします。
次はピックアップ選びに入りますが、このレゾナンスを活かすピックアップは何か?逆に難しくなったような気がします。。。。
ピンバック: Jazzcasterに搭載するピックアップを考えてみるので参考になった動画 | Project JAZZCASTER