#エフェクターIbanez Tubescreamer TS9

TSクローン???かもしれない5号機&Ibanez TS9 1st Reissueと比較テストしてみたら意外な結果で出た


みなさん2024年はお正月から大きな災害や事故が発生し波乱の1年にりました。被災や事故に遭われた方々には心からお見舞いもうしあげます。

昨年からアップしております、@KSZZ51様からお貸しいていただいた5台のTS系?オーバードライブペダルの比較ですが、なんと昨年終盤に私の大好きなBOSSからジョンフルシアンテになれる(なれないけどw)プリアンプブースターBP-1Wが登場したことでこのシリーズをいったん中断しておりました。もうしわけありません。

なので、比較検証企画として#5号機のテストが2024年最初の記事になります!

TS系?クローン?5台比較
TS系?クローン?5台比較

大人の事情で外観をお見せできない#5号機です

このペダル大人の事情で筐体のモノクロ化&画像をモザイク処理しています。

が、どう見てもIbanese TubeScreamer TS808のクローンペダルである外観なのでした。

TS??? クローン5号機
TS??? クローン5号機

なので、これはこれまでの4台と同じTubescreamer回路のTSクローンペダルであるという先入観があり計測を最後に回していたのです。

が、計測して悪露だしいみるとそれがまったく違うことであることが判りました!(人間と同じく外観で判断してはいけないということですかも)

周波数計測でいきなりTS9との違いが見えた!

まず#5号機の周波数の計測で、他のTS系クローンとはまったく異なるEQ特性示していることが見えてきました。

こちらが#5号機のOVERDRIVEツマミを、0、2.5、5、7.5、10ごとに、TONEツマミを0、2.5、5、7.5、10として合計5本の周波数特性を計測したグラフです。

そしてこちらがIbanez TS1 1st Reissueの同様の計測結果です。

Ibanez TS9 Tubescreamer 周波数特性
Ibanez TS9 Tubescreamer 周波数特性

TS9はOVERDRIVEツマミの変化に対してグラフの低域側はOVERDORIVEの設定ごとに5本の線に集約されています。
そしてTONEツマミはハイミッドだ側を上下させていることが判ります。

ですが、対する5号機のTONEツマミはゲイン全体にも作用していることが見えてきます。

更にOVERDRIVE=0でTONEを変えたときの2つのペダルを比較表示してみました。

TS9を緑線で、5号機は黒ですがTONE=0が判り憎いので赤線でプロットしております。。

TS9 vs #5号クローン
TS9 vs #5号クローン

TONE=5から10に回すと相対的ハイがわずかに追加されることになるとおもいますが、同時にローミドルも増えていますので、よりフラットな特性になるようです。
一方でTONE=5から2.5までは低域が削られて行く感じ、そして2.5から0にかけては再びハイが復活するようです。
よってこのTONE回路は5以上で使うと判り易いのに対して5以下では謎の挙動を示すようです。

周波数スペクトラム計測で歪み特性でも大きな違いで出てきた

これまでの4回の計測でもこのスペクトラム計測を行ってきましたが、今回面白い結果が出ましたのでテスト方法についてもう少し詳細を記述します。

ペダルへ入力するのはこのような波形の信号です。この波形は3種類のサイン波をミックスしたものです。

そして音量は以下のように、0から5秒まで音量を上げて行き、5秒から15秒まで同じ音量でキープ、15秒から30秒にかけて音量を下げて行くようにします、

で、この音源をペダルに入力し、周波数分布のスペクトルを画像として取得します。
このとき音量は色で表示されます。(音量が増えると緑から赤に)

こちらがTS9のスペクトル計測結果です。

下側にある3本のラインがテスト信号の周波数、そしてその上に出て来ているラインが倍音が活性していることを計測できています。

で、こちらが#5号機のスペクトル計測結果です。

これは明らかにTS9の特性と異なる結果が出ていますね。

次に、縦軸の周波数の並びを対数表示にした結果がこちらです。対数表示にすると低い周波数の方が拡大されて表示されます。

こちらが#5号機に対数表示のスペクトル画像です。

明らかに異なる特性ですね。

もう少し判り易いようにこのように画像を並べてみました。

TS9は低い音量からすこしずつ歪みはじめ、入力音量が増すに従って高域の倍音が発生するような特性ですね。

いっぽうで#5号機はある音量でいきなり倍音が一気に発生する特性のようです。

#5号機の計測テストまとめ

多くの歪ペダルが、周波数特性を変化させるEQの回路と、波形を歪ませるクリッピング部とで構成されています。

よって、今回#5号機を周波数特性とクリッピングの様子を観察するスペクトラムの両方ともにTS9とまったく異なる特性を示しました。

よって#5号機はTS系ではない歪みペダルであることが推測できました。

で、その後に#5号機の裏蓋をあけて基板を見ると、やはりクリッピング回路からTSとは別物であることが確認できました。

ただ基板の写真は大人の事情(^^で掲載できません。申し訳ありません。

#5号機をTS9 1st Reissueと音出ししてみた

で、次にスタジオでTS9と共に音出ししてみました。

ギターはストラトキャスターで、バッファ(ブースター兼)&スプリッターでTS9と#5号機に同じ信号を入力しその出力をABボックスセレクト、Tech21のアンプシミュレーターを通して、JC120のリターンに入力しています。

TS9はいつものTSサウンドですが、#5号機の歪は荒々しく複雑で迫力ある歪に感じました。
その一方でボリュームコントロールによってクリーンサウンドが出るのが面白いです。

安定のTSに対して、#5は二面性が感じられました。

まとめ>やはりオリジナルのTubeScremaerを基準にしたい

TS系クローンについては様々な魅力ある製品が販売されていますが、沢山ありすぎて選ぶのも難しいとおもいます。

で今回5台のTSクローンとしてお題に出されましたが、TS回路ではない#5号機が混ざっていたことで、相対的に4台のTSクローンはIbanez TS9に対してほんの僅かな違いの中で勝負していることがわかりました。

そんなTSクローン機のわずかな差でどのくらいのメリットを感じることが出来るのかがTS系ペダル選びのポイントになるかとおもいます。
なので是非リファレンスにこれら2台のどちらかを所有されることをお勧めいたしました。

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わたしはいろいろTS系ペダルはあれどやはり本家IbanezのTubescreamerがいいなぁと感じています。

まだまだ続編もあるよw

で、この5台の計測の続編としてオペアンプによる音の違いについても既に計測しています。

この企画がはじまって年も越してしまいましたが、もうすこしお付き合いして頂ければ幸いです。

ということで2014年もよろしくおねがいいたします!

これまでのTSクローンプロジェクトの記事

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