ギターアンプの周波数特性はフラットに出来るのか? – その5 Roland CUBE 40 まとめ編
これまで、ギターアンプの周波数特性はフラットに出来るのか?シリーズとして、Roland CUBE40のプリアンプ、パワーアンプ、スピーカーの周波数特性を計測してきました。
ということで、次にアンプ全体でどのような周波数特性で動いているのかをまとめてみたいと思います。
このテストは、CUBE40のインプットに計測用信号を入力し、スピーカーからの出力を計測用マイクで測定しています。
この計測用マイクについては前のポストをご参照お願いいたします。
パワーアンプvsプリアンプのフラットセッティング
SNSで話題になった、通常インプットでリターン挿しと同じようにフラットなEQに出来るかということだと思います。
そこで前回の記事ではプリアンプをスルーしてリターン差しでのスピーカー特性を計測しました。
また、以前の記事でプリアンプのEQをフラットにするセッティングを確認していました。
ピークレベルを合わせそこなったwので、3つのラインに差があるように見えますが、やはりプリアンプを通すと400Hz以下の低音が少なくなるようですね。
ちなみにこちらが今回計測したすべてのプロットグラフです。今回流石にトレブル、ミドル、ベースのすべての組み合わせ75通りを計測しなかったのですが、、、このグラフの1Khz以下の2本の線がプリアンプでの疑似フラットセッティングになります。
CUBE40 のトレブル5、ミドル5、ベース5での測定
こちらがツマミをオール5でスピーカーから出た音の周波数測定結果です。
1Khzから7Khzの間の音が強く出力されているのが判りますね。
特に2Khzから5Khzが100db以上に対して、1Khz以下が80dbで、その差は20dbになります。
この20dbの差は音圧で10倍の差、音響パワーで100倍の差になるようです(出展はこちら)
この結果からも、ギターアンプは1Khzから7Khzまでのミッドハイを主に再生している音響デバイスと言えると思います。
CUBE40 のマジック6!トレブル6、ミドル3、ベース2での測定
ちなみに、Fender Twin Reverbの黄金レシピ、マジック6のとおり、トレブル6、ミドル3、ベース2にセッティングして計測してみました。
このマジック6での測定結果は、オール5のセッティングとあまり変わらないように見えるかもしれないので重ねてみます。(赤が555、ベージュが632)
555よりも632の方が音量が上がりましたが、今回の測定ではピークレベルをだいたい110dbにおいていますので、測定レベルを合わせて調整しています。
ということでマジック6セッティングでは555のツマミフラットから400Hz以下をカットするような周波数特性になるようですね。
つまり、低音弦側の基音レベルを下げているということですね。
これはまさにバンドアンサンブルとして、ベースの音域と被らないようなセッティングと言えるかもしれません。
マジック6を中心にしてトレブルを変化させてみた
次に、以前の記事でミドルを5以下にセッティングすると、トレブルとベースの効きが判るようになるということが判りましたので、マジック6を基本として、ベース2、ミドル3に固定して、トレブルだけ0、2.5、5、7.5、10に変えて計測してみました。
400Hzを中心軸にして、それ以上の帯域をコントロールできていますね。
トレブルは倍音をコントロールしていた
ギターの弦の基音は80Hzから1Khz強なので(出展はこちら)、1Khz以上は所謂倍音の領域になります。
今回計測したCUBE40の周波数特性をみると、まさに1Khzから7Khzあたりの倍音領域を中心に増幅している特性ですね。そして、トレブルツマミはこの倍音領域の音量をコントロールしていたことになります。
マジック6を中心にしてベースを変化させてみた
次に、ミドルを3、トレブルを6に固定して、ベースのツマミを0、2.5、5、7.5、10に変化させてみます。
今度は400Hzを軸にして、それ以下の低音側をコントロールできているということですね。(ベース7.5と10はほぼ変化がないので4本線に見えます)
とくに200Hz以下の低音側をコントロールできるようになっています。
ベースは低音弦側の基音をコントロールしていた
ギターの6弦、5弦、4弦の12フレット以下で出る基音の周波数はだいたい80Hzから400Hz弱ということです。(出展はこちら)
よって、ベースツマミではこの低音弦の基音の領域をコントロールしていることになります。
で、エレキベースは40hzから400hzを担当するとすると、エレキベースとぶつからないように調整するという役割があるのかと思います。
Roland CUBE40 周波数特性まとめ
このシリーズでは、Roland CUBE40のプリアンプ、パワーアンプ、スピーカーの周波数特性を計測してきましたが、この記事ではアンプ全体での周波数特性を計測したことになります。
パワーアンプの周波数特性はほぼ完全にフラットでしたので、ギターアンプとしてのCUBE40のサウンドは、プリアンプのトーンスタックの周波数特性と、スピーカーの特性で出来ていることが判りました。
まとめとしてはこんな感じですかね
- ギターアンプ(CUBE40)は1Khzから7Khzの領域をかなり強調する特性だった
- 結局スピーカーの周波数特性の影響がもっとも大きかった(クリーン領域)
- リターン差しはスピーカーの特性(キャビネット)をそのまま利用できる
- CUBE40でもマジック6の通りミドルが3くらいがコントロールしやすい
- トレブルツマミでは倍音をコントロールできる
- ベースツマミではロー側のバンドアンサンブルをコントロールできる
- 結局トレブルツマミとスピーカーとの組み合わせでギターアンプのキャラを設定することになる
ただし、これはクリーン領域での話ですので、歪領域では、プリアンプの歪み時の特性、パワーアンプの歪、電源のレスポンス、真空管の場合はトランスの歪、スピーカーの歪が加わって来ると別の話になるとはおもいますが、おそらくスピーカーがギターアンプのサウンドで大きな要因であり、トレブルツマミがそれをコントロールすることは変わらないと思います。
ギターアンプの周波数特性はフラットに出来るのか?
という原点に返ってみると、もうわけがわからなくなりましたw
で、このシリーズさらに続きますw
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