Project JAZZCASTER – by カバ野郎

自作エフェクターとかWarmothのパーツでギターを組み上げるとか、自作エフェクターにチャレンジしてみるブログ。

#自作エフェクターONE-HAND MIXING FUZZ

ONE-HAND MIXING FUZZの回路を説明します


前のポストでは、Sound Design Lab.さんとFuzz制作をコラボすることになった経緯を説明させていただきました。

ということで今回はこのFuzzの回路について説明させていただきます。

ONE-HAND MIXING FUZZ回路図

こちらが回路図です。

ONE-HAND MIXING FUZZ
ONE-HAND MIXING FUZZ / JHS 3 series FUZZ / FuzzFace

ちなみに、もう一度JHS 3 series Fuzzの回路図の話からさせていただきます。

こちらがその回路図。

JHS Fuzz
JHS Fuzz

でこの回路を見て気が付いたのは、home-wrecker.comというサイトが公開しているSili-FaceというFUZZです。

このSili-FaceはオリジナルのFuzzFaceに対しして、いくつかの変更が加えられていますが、最大の特徴としては。

  • Q2のベース-コレクタに100pのコンデンサが付けられてている。
  • Q2のエミッタに繋がるFuzz調整ボリュームが無く、1Kの抵抗に置き換えられている。(つまりFuzz全開のFuzzFace)

の2点を挙げることができるのでしすが、いずれもJHS 3 series Fuzzに踏襲されているようで、更に後段にブースターが追加されている感じですね。

ONE-HAND MIXING FUZZの制作の回路の説明

さて次はONE-HAND MIXING FUZZの回路について説明させていただきます。

ONE-HAND MIXING FUZZ / JHS 3 series FUZZ / FuzzFace
ONE-HAND MIXING FUZZ / JHS 3 series FUZZ / FuzzFace

①PREGAIN ポット

最も有名はFuzzFaceクローンであるAnalogman SunFaceなどでも採用されていますね。

前にペダルを繋いだ時にインピーダンスのアンマッチでFuzz側のGainが高すぎる場合に入力を絞るとスムースなFuzz音になるようです。

こちらのCoda-Effectsのサイトが参考になります。
https://www.coda-effects.com/2015/02/analogman-sunface-build.html?m=0

②FAT スイッチ

これもよくある入力カップリングコンデンサーのModですね。

オリジナルのFuzzFaceでは2.2μFの電解コンデンサが使われていますね。

このカップリングコンデンサはFuzzFaceの音作りで重要なポイントになっているようでクローンビルダーさんの皆様はオリジナルと同じメーカー(の後継もふくめて)のアキシャル型の電解コンデンサを使うのがお約束となっていますね。

ここをJHSは0.022μFのフィルムコンデンサに4.7μFの電解コンデンサを追加できるスイッチを設けています。

通常モードでは0.022μFのフィルムコンデンサーによってオリジナルのFuzzFaceに対してややローカット気味になります。
またフィルムコンデンサにしたことで高域の周波数特性も良くなっていますので、より高域が伸びる特性になると思います。

FATモードでは0.022μFフィルムコンデンサに4.7μFの電解コンデンサが並列で合算されるようになります。その結果、オリジナルのFuzzFaceよりも少しですがロー側のレンジが広がります。
また、フィルムコンデンサを並列にすることで、高域側の周波数特性も向上していますので、オリジナルFuzzFaceの2.2μF電解コンデンサー1発よりも、FATモードではよりブーミーかつ高域もより通過するようになっていると思います。

これに似たModも多くのビルダーさんがこのカップリングコンデンサを工夫されている例も多いですね。サウンドハウスさんのブログも同様の回路で検討されています。

https://www.soundhouse.co.jp/contents/staff-blog/index?post=3598

③ 47pセラミックコンデンサの追加

ゲルマニウムのFuzzFaceに対してシリコン版は高域がいやな感じでギラギラする、またFuzzノブを全開にするとピシャーっていうノイズが出るなどの動きになることが多いようですが、このようにトランジスタのベースとコレクタ間にコンデンサを追加することで、それらを抑止する効果があります。

じつは近年のJimDumlopのFuzzFaceや、特にFuzzFace miniではこのコンデンサが使われている場合が多いです。
なのでこのコンデンサ追加もFuzzFaceとしては一般的な手法ですね。

で、Sili-FaceやJHS 3 seriesではここを100pのコンデンサが使われていますが、CabaPedalsはここを47pに再Modしています。

④BIASポット

JHSはこのBIASポットでQ2のバイアス電圧をズラすことで所謂ゲートがかかったブチブチ音が出せるようにしています。

JHSは昔からこのModが大好きで、ブチブチ音にModする動画をアップされていますね。

一方で、日本人のFuzzFaceに求める音としては、ブチブチ音はあまり期待されていないかもしれませんw

なので多くのFuzzFaceビルダーはブチブチ音を出すのではなく、より本来のFuzzFaceらしい音を求めてこの抵抗でQ2トランジスタのコレクタ側の抵抗でバイアス調整回路を設けられていますね。

本家JimDunlopのFuzzFaceシリーズでもバイアス電圧調整用の半固定抵抗が追加されているモデルもあります。

よって、このONE-HAND MIXING FUZZでは,ある程度バイアス調整ができ、かつ、ブチブチ音も少し出せるようにしました。
これは次のバイアス抵抗によって調整します。

⑤Q2コレクタ抵抗8.2KΩ→6.2KΩ

オリジナルのFuzzFacはQ2のコレクタ抵抗は8.2KΩであり、JHS 3 series FUZZも同じ値です。

ここを6.2KΩにしました。
こうすることで、hfeが高いトランジスタでも適度なコレクタ電圧に調整できるようになります。

JHSのオリジナルの動画ではhfe=100から150程度のトランジスタを使うように指示されていますが、普通に売っているトランジスタはもっとhfeが高いもの多いので、そういうトランジスタを使う為にこの抵抗を低めに設定しています。

皆さんもお好みの抵抗にしても面白いかもしれませんね!

⑥Fuzzポットを半固定抵抗に

JHS 3 series FUZZではここを1KΩの固定抵抗にしています。つまりFuzzが常に全開ということですが、その代わりPreGainでFuzzのゲインをコントロールするようにしています。

ということなんですがCabaPedalsとしてこれを丸コピーするのも失礼ですので、元のFuzzFaceと同じようにポットに戻していますが、半固定抵抗として基板側で調整するようにしました。
もし発信など発生した場合は少し落とすことで落ち付くメリットがあるかもしれません。でも全開で大丈夫だと思います。

また、皆様が組み立てられるとき1KΩの固定抵抗にするのも良いかもしれません。よりシンプルになりますね。

⑦Q2のバイパスコンデンサを47μFに

このバイパスコンデンサはFuzzFaceでも重要なコンデンサですね。

これもオリジナルと同様の22μFのアキシアル型を使うのがFuzzFaceクローンの証のようなものですねw

でJHSはここを47μFにしました。
これによってQ2の低域側のゲインが高くなりよりファットなFuzzサウンドになります。

⑧出力カップリングコンデンサを0.1μに

オリジナルのFuzzFaceでは出力のカップリングコンデンサは0.01μFですね。これを0.1μにすることで、やや低域側が出ることになります。
⑦のModによって低域側のゲインがでることになりますので、それを捨てないで出すということなんでしょうかね。

⑨100KΩのボリュームポット

オリジナルのFuzzFaceの出力ボリュームには250KΩや500KΩがつかわれていますね。このボリュームポットの値も結構音に影響があるのですが、JHS 3 series FUZZの回路では後段にブースターを付けられています。

これはある意味出力バッファーのようなもので、ここのボリュームポットは100kΩで安定して音量が調整できるという設定ですね。

⑩FuzzFace+出力ブースター

トランジスタ1石のもっとも基本的な増幅回路です。

JHSはこちらの動画でほぼ同じ回路のElectro Harmonics LPB-1 ブースターの自作方法を紹介しています。

すでに説明させていただきましたが、オリジナルのFuzzFaceはボリュームをほぼ全開で使わなければ、OFF時の音とのバランスが難しいこともあるようです。

これは、古い設計のペダルではよくあることですが、JHS 3 series FUZZではブースターが追加されているのが特徴となっています。

ブースターによって、ソロ時にFuzzをONにした時にグッと前に出る音量にすることができますので、これはFuzzFaceタイプのFuzzを実戦投入するには素晴らしいアイデアだと思います。

といっても、手前味噌ですが、私も同様のコンセプトでFuzzFaceに後段にトランジスタ1石のバッファーを追加したペダルを制作させていただいておりました。

⑪電源デカップリングコンデンサの追加

前の記事で紹介させていただいたJHS 3 series の自作動画ではこのコンデンサはなかったですね。

しかし、ネットを探すとJHS 3 series FUZZのリバースエンジニアリングな回路図も既に出回っており、それを見ると電源部にデカップリングコンデンサがあるようですね。

なので、私もここに100μFのコンデンサを追加させていただきました。

このデカップリングコンデンサによって、電源ノイズを現象させたり、電源変動を安定化する効果があります。

ただ、この1個のコンデンサだけで電源ノイズをカットすることは難しいので、やはり電源ノイズの影響を受けやすいFuzzFace回路は電池か、高品質な低ノイズのアイソレート電源を使われた方がよいと思われます。

まぁ9V電池で駆動される方はこのデカップリングコンデンサはそれほど必要無いと思われますので、お好みによって追加してください。実は音にもちょっと影響がでてきますし。

ONE-HAND MIXING FUZZの回路まとめ

結局、JHS 3 series FUZZと、前の記事で引用させていただいたSili-Face回路、そして、オリジナルのFuzzFaceのいいとこ取りのハイブリッド回路になっておりますw

ですので、Sound Design LaboさんがこのFuzzを30台限定で発売されますので、皆さんもこれをベースにいろいろ試してみてくださいね!

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