理想FuzzFaceの回路の入力電圧値を変化させて動作をチェックしてみた
前アップした記事ではLTspiceでのゲルマニウムトランジスタAC128のhfe値の選定シミュレーションをやってみましたが、再度理想のhfeのトランジスタを付けたFuzzFaceの回路に戻します。
そしてFuzzFaceに入力するピックアップの出力信号に見立てて、サイン波のジェネレーターを5mV、10mV、20mV、50mV、100mV、200mVに変化させてみました。周波数は800Hzです。
で、下のグラフの1段目が、FuzzFaceの入力Inのラベルがついている所の電圧波形、真ん中がQ1のコレクタ電圧の波形、下段がOutつまりFuzzFaceの出力の波形ですが、ここはほぼQ2の波形に近いと思われます。
まずピックアップの出力5mVあたりまで入力から3つの波形ともにほぼサイン波、つまりクリーンサウンドに近い出力です。
10mvにすると、Q1が非対称クリップし始めます。
FuzzFaceの回路の凄い点の1つとして、クリーンサウンドからクランチになる時に非対称クリップしていることですね。
真空管を歪ませたり、BOSSのOD-1の伝説のサウンドが非対称クリップで実現されていることは有名ですが、FuzzFaceはOD-1よりも早く非対称クリップを出すことが出来たペダルということですね。
また、ここで同時にQ2もクリップし始めています。
そして20mVになるとQ1は非対称ながら、上下ともにクリップし始めてきます。
またQ2も更にクリップし始めていますね。
50mVになるとQ1も上下でクリップを始めていますが、更に特徴なのはクリップが緩やかになっているということです。
海外のサイトではこれをソフトクリップ、Q2の出力のような角張った方形波はハードクリッピングと呼んでいるようです。
100mV以上になると、Q1も完全に上下クリップモードになっていますね。
これらのことからFuzzFaceは入力信号の強さに対して非常に複雑な動きをするということが判りました。
- 原音から殆ど歪まない領域
- Q1で非対称クリップがはじまる領域
- Q1が非対称クリップから飽和し始めソフトクリップとなり、Q2が電源電圧内でハードクリップを始める領域
- Q1のソフトクリップが深くなり、Q2がハードクリップしている領域
- Q2のハードクリップが更に深くなる
そして、更に判ったのは、In電圧の変動です。
PUは50mVを出力しているのに、Inにはその半分の電圧しか掛かっていません。
また、In信号も歪んでいるのです。
これが、FuzzFaceの前に繋げたギターやペダルの相性や安定性の違いに関する説明に繋がりそうです。
ということで、この出力の変動を動画にしてみましたので一応ですが添付しておきます。Inの波形が変化していることが判ると思います。
続く