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伝説のオペアンプマレーシア製レイセオン4558PとかJRCツヤ有りってどこがすごいの!?TS回路テスト機で歪みを掘り下げみた


オペアンプ比較これまでの流れ

いぎすぎたDIY さんから、伝説のオペアンプ二大巨頭であるマレーシア製RC4558P、ツヤありJRC4558Dを提供いただきましたので、歪みエフェクターの代表としてTubeScreamer回路のテスト機を制作しました。

でまずはJRC4558Dツヤ無しも加えて3種類の4558をTS回路に使った時の周波数特性を計測してみました。

その結果、マレーシア製、ツヤ有で周波数特性にかんしてそれほど差は出てきませんでした。

4558は元祖オーディオ用オペアンプですので、製造時期や生産地が違っていたとしても、こと周波数特性にに関してはある程度以上の性能が備わっている筈です。
なので、個人的には納得の結果でした。

オペアンプによる歪み=倍音の出方の違いを時系列のスペクトル見てみる

ギター用の歪エフェクターはオーディオと真逆で、歪ませることが目的の回路ですから次はその歪のキャラクターを確認します。

で、歪みを確認するには倍音の構成を確認することになりますので、テスト方法としては前回のテストと同じく、入力レベルを変化させて時系列でどのような倍音が発生するのか、をスペクトル表示で確認してみます。

JRC 4558D つや無し v.s. マレーシア製RC4558P のスペクトル比較

OVERDRIVEを2.5で計測しています。

2つのオペアンプのスペクトルをGIFアニメにして比較します。縦軸が周波数で横軸が時間、色が音量です(黒<緑<黄<赤)。
三本の真っ赤な線が入力信号です。

JRC 4558D 艶なし v.s. マレーシア TI 4558D
JRC 4558D 艶なし v.s. マレーシア レイセオンRC 4558D

音量が低い立ち上がりと、減衰の部分でマレーシア製のほうがより複雑なスペクトルになっていることが判りますね。

立ち上がり部分を拡大するとこんな感じです。

緑の部分が発生するマレーシア製の4558Dの方が倍音が豊かなようですね。。

やはり違うもんですね!

JRC 4558D つや無し v.s. つや有り のスペクトル比較

次は同じJRCでツヤ無しとツヤ有りの4558Dとのスペクトル比較です。こちらもOVERDRIVEは2.5です。

JRC 4558D 艶なし v.s. JRC 4558D 艶あり
JRC 4558D 艶なし v.s. JRC 4558D 艶あり

こちらは440Hz以上では倍音は殆ど差が見受けられませんね。

一方で80Hz以下での動きに差があるように見えます。

しかし対数表示の為、低域が拡大されていること、もあり、本来ギターにはあまり関係ない低域ですので実質差は聞き取れないと思った方が良いと思います。

ということで、ツヤ有も、ツヤ無も同じJRC新日本無線の同じ4558Dという型番のオペアンプですので、製造時期の違いがあったとしても違う特性になる方が問題なのかもですね!(特にその頃の日本企業の品質管理は素晴らしいかったとおもいます)

スペクトラム分析で判ったこと

入力信号が低い状態で、マレーシア製4558Pはより複雑な倍音が発生していることが観察できました。

つまり、ピッキングの立ち上がりと、後半の減衰の時に少しその倍音によるニュアンスの差が聴き取れるかもしれませんね。

歪みで発生する倍音を周波数分析FFTしてみた

こちらの動画は周波数分析のまとめ動画ですが、本当につまらない動画ですし、音的には1kHzでピーっとなっているだけなのでご覧にならないでくださいw

いつもの通り、1Khzのサイン波を入力しますが、OVERDRIVEを0、2.5、5、7.5、10に固定した状態で、入力レベルを1d ずつ上げていきながら倍音を観察しました。

FFTの結果を掘り下げてみる

ということで動画をキャプチャしながら3つの4558オペアンプの歪みの違いを観察してみました。

OVERDRIVE=2.5での周波数分布FFT観察

OVERDRIVEツマミが2.5と控えめ、そして 入力レベルは-18dbという小音量で1Khzのサイン波を入力した時の倍音発生状況です。

上の図にも説明入れていますが、マレーシア製RC4558Pは小音量時には偶数次の倍音が5dbくらい大きい感じですね。。

次に、入力がレベルが少し大きくなった時の状態ですが、ここで奇数次倍音と偶数次倍音の比率に注目します。

まず、ツヤ有りの方が高域まで綺麗に整った倍音が発生しているのが判ります。
対するツヤ無しとマレーシア製はノイズと信号の倍音が干渉して複雑で不自然な周波数分布になっているように見えます。

また奇数次倍音と偶数次倍音のそれぞれだいだいの上限値を赤い点線で結んでると、マレーシア製の方が偶数次倍音の比率が高いことが判りました。

入力レベル-6dbですがここでもマレーシア製が他より偶数次倍音の比率が高いということが判ります。

OVERDRIVE=5での周波数分布FFT観察

OVERDRIVEツマミを12時にしても、マレーシア製は偶数次と奇数次が同じくらい発生します。JRCのツヤ無しとツヤ有りは両方とも奇数次倍音の比率の方が高いですね。

少し入力レベルが上がってもマレーシア製は未だ偶数次倍音の比率が高いですね。

4558Dマレーシア製 vs ツヤ有り vs ツヤ無し
4558マレーシア製 vs ツヤ有り vs ツヤ無し

更に入力レベルを上げてもマレーシア製は偶数次倍音の比率が高いという結果になりました。

同じ4558オペアンプでも発生する倍音に違いが出るのが面白い

この1kHz入力した時の倍音を観察するテストでは、マレーシア製レイセオン4558Pは入力信号が小さい時により偶数次倍音が出るという結果になりました。

これは、スペクトルの分析でも音量が小さい時により倍音が豊かであるという結果と一致しますね。

ちなみに、Ibanez TS9は奇数次倍音発生マシーンです

一方で私のTS9リイシューはこちらの記事のようにもうかなり優秀な奇数次倍音発生マシーンです。

Ibanez TS-9の歪みの倍音
Ibanez TS-9の歪みの倍音

このようにオーディオ用オペアンプ4558系を使ったTubeScreamer回路は、波形の上下共に対象に圧縮されることで、奇数次倍音が中心となるのが正しい姿であると言えると思います。

ですが、今回のようにちょっと古い4558オペアンプを使うと、それぞれ偶数次倍音が発生する比率に違いが出るのが面白いですね!

オペアンプとしてのノイズも比較

ついでにですが、無音時のノイズ分布も見てみます。

JRC4558Dツヤなし/マレーシア製TI4558D/JRC4558Dツヤあり
JRC4558Dツヤなし/マレーシア製レイセオンRC4558P/JRC4558Dツヤあり

これを見るとツヤ有りのJRC4558Dが明確に低ノイズ(特に高域が)であると言えると思います。

一見低域にノイズが多く分布しているように見えますが、ピークは他よりも低く-90dbを下回っていますので低域でもツヤ有りの方が低ノイズと判断しました。

そしてマレーシア製4558Pとツヤ無しはノイズがより広い周波数で発生しているように見えますね。
で、本当に僅かな差ですが、マレーシア製の方がノイズが多いように見えます。

このようなノイズは-90dbとか-100dbと低い値ですが、歪み回路なので高いゲインうことになりるということはある程度音に影響を与えることになるのではと思います。

またノイズが大きいマレーシア製とツヤ無し4558Dは高域の倍音と干渉してるように思えますので、やはりノイズの差も歪み音にも表れているのではと思いました。

いったんまとめ

周波数分析のテストから見えてきたことは以下の通りです。

  • マレーシア製レイセオンRC4558P
    • TSに使うと小音量時に偶数次倍音の比率が高い
    • ノイズがやや多い
  • ツヤ有JRC4558D
    • 高域までローノイズ
  • ツヤ無しJRC4558D
    • 周波数特性も倍音特性もツヤ有とあまり差が無い
    • ノイズはマレーシア製と同等

という感じでしょうか。

ということで、次の記事でこのお話の総決算のまとめをやってみたいと思います!

アップするまで準備があるwのでちょっと遅いとおもいますがおたのしみに!

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