ギターアンプの周波数特性はフラットに出来るのか? その8 – BOSS Katana 50 MkII プリアンプ計測編
SNSで少し話題になったRoland JC-120のフラットEQを設定できるかという話題に便乗させていただきまして、ギターアンプの周波数特性はフラットに出来るのか?シリーズですがコスりまくっていよいよシリーズ第8話になってしまいました。
前回の記事ではKATANA 50のパワーアンプに入力して鳴らすと、ほぼフラットな周波数特性であるということが判りました。
ということで、今回はKATANA50のプリアンプの周波数特性を計測してみたいと思います。
KATANA50のPHONES / REC OUT端子とは何なのか?
INPUTから信号を入力してPHONES / REC OUTジャックから出る信号を計測していきます。
このジャックはSENDジャックでもなく、LINE OUTジャックでもなく、PHONES / REC OUTジャックという名前なんですがそれが何を意味するのかを探ってみたいと思います。
BOSS KATANA50は、5種類のアンプモデリングモードを選択することが可能ですが、今回はCleanモードで計測します。
BOSS KATANA50 のREC OUTはアンシュミ+キャビシュミだった
まずは、こちらがミドルを50で、トレブルとベースを変化させた時のREC/PHONE端子出力での周波数特性です。
おっと、、、これはまるでギターアンプのスピーカーで出力された音をマイクで収録したときの周波数特性そっくりです!
BOSS KATANA50 MkIIのREC OUT / PHONE端子出力は、まさにアンプ・キャビシミュレーション出力ということですね!
次にKATANA50 MkIIでミドル7.5に固定した時のREC OUT周波数特性です。
プリアンプはデジタルですがおそらくアナログアンプのトーンスタックの動作をシミュレートしているようで、CUBE40のプリアンプと同じようにミドルを上げるとトレブルとベースの調整幅が狭くなっていますね。
次はミドルを10にすると、更にトレブルとベースの調整が大人しくなっていますね。
ただ、アナログのトーンスタックよりもトレブルもベースも調整幅が確保されているという感じですね。
今度はミドルを2.5にしてみます。
ミドルを下げると、結果的にトレブルとベースの可変幅が広がっていますね。
ミドルが5以上にすると、トレブルは600Hzあたり以上の調整、ベースは600Hz以下の帯域を調整することになる。
ミドルを5以下にすると、トレブルとベースの調整がクロスオーバーして、トレブルが400Hz以上の調整、ベースが1Khz以下の調整になるようです。
すいません、ミドルを0にする測定忘れていましたが、、、、が次にミドルだけ変化させたときのREC OUTでの周波数特性です。
ミドルをゼロにすると500Hzあたりが下がっていますね。
ここで、わかるのは、ミドルをどんなに上げても、トレブルやベースより強くすることはできないということです。
これはCUBE40で確認したことと同じですね。
ギターアンプは必ず、1Khzから5Khzを強調する周波数特性になるということだと思います。
ただ、KATANA50はロー側の再生能力も高いようです。この推測はあとで書きたいと思います。
KATANA50のREC OUTのキャビシュミは自身のシミュレーションだった
次に、KATANA50のパワーアンプ入力+スピーカーの周波数特性と、IN端子入力でトレブル2.5、ミドル10、ベース2.5でREC OUTした周波数特性を重ねてみました。
ということで、特に1Khzから6Khzの間を見ると、REC OUT出力と、スピーカーでの計測結果のピーク&ディップのパターンが重なっている傾向があるように見えます。
つまり、KATANA50 MkIIのREC出力は、自身のスピーカーの周波数特性をキャビシュミしたということだと思います。
なので、KATANA50のREC端子やヘッドホン端子で記録したり聞ける音は、KATANA50のスピーカーから出る音に近いということになります。
BOSSってマジメな設計しているんだなーといことを再認識しました。(まぁヘッドホンにも周波数特性はあるのですが)
KATANA50でマジック6設定にしてみる
次に、Fenderアンプの基本セッティングである、マジック6、トレブル6、ミドル3、ベース2をKATANA50に適用してみて、スピーカーで音出しした時の周波数特性を計測してみました。
こちらがKATANA50 MkIIのマジック6設定の計測結果です。
ちなみに、CUBE40のマジック6設定はこちら
KATANA50はCUBE40よりもマイルドな周波数特性ですが、どちらも1Khzから6Khzを強調していることが判ります。
一方で、CUBE40はより低音をカットする周波数特性ですが、KATANA50はより低音が出ていますね。
この差は時代の変化ということなんでしょうかね、CDの登場やPAの性能進化によって音楽の周波数帯域が広がってベースはより低音が収録できるようになったとかで、バンドアンサンブルも昔と変わってきているとか、、、、(たんなる想像です)
KATANA50のクリーンモードで低音が出ているのは?
KATANA50はデジタルモデリングによって複数のアンプキャラを切り替えられますが、これまでの測定はCLEANモードでやってきました。
それでは次に、CLEANモードに加え、CRUNCHモードとACOUSTICモードの周波数特性も観察してみました。
いずれも、トレブル5、ミドル5、ベース5に設定してREC OUTで計測しています。
この計測した3本の周波数特性を見ると、CRUNCHモードはやはり伝統的なギターアンプ用のスピーカーに似た周波数特性に設定しているように見えます。
そして、CLEANモードとACOUSTICモードが近い特性を示していますので、やはりこのモードはモダンな周波数特性であり、ベースもたっぷり出ることからJAZZやカッティング用のEQ特性なのかもしれません。
一方のCRUNCHモードは昔ながらのギターアンプの特性ということですね!
ということで、BOSS KATANA 50 MkIIはCRUNCHモードの方が従来のギターアンプに近い音色ということになりますので、所有されている方は覚えておいて良いかもしれませんね!
BOSS KATANA50 MkIIはフラットに出来るのかまとめ
この、ギターアンプの周波数特性はフラットに出来るのか? ですが、Roland KATANA50 MkIIに関して言えることは次の通りです。
- POWER AMP INに入力すると、スピーカーの周波数特性も込みで、所謂フラットな特性となる。
- 但し、オーディオ的なフラットではなく、エレキギターの音域で必要な100Hzから5KHzの間がフラットな特性である。
- FRFRスピーカーとして使えそう
- PHONES / REC OUTはアンプシミュレーションとキャビネットシミュレーションの信号が出力される。
- この出力はLINE入力経由でそのままギターアンプの音として録音できる。
- ヘッドホンで聞くとスピーカーに近い周波数特性で聞くことが出来る。
- 昔ながらのギタープリアンプが持つトーンスタック回路のようなEQ処理が行われている
- CUBE40と同じようにミドル5以下で使うとトレブルとベースの効きが実感できる
- CLEANモードではJAZZギターアンプに近いEQとなる
- CRUNCHモードは従来の多くのアナログアンプに近いEQとなる
- 更にトーン設定をマジック6(トレブル6、ミドル3、ベース2)にすると1KHzから5KHzの間を強調したFenderアンプ的な音になる
KATANA50はデジタルプリアンプによるモデリングモードがありますし、多彩な内臓エフェクターも持っていますので、本当に多彩な音作りが可能なアンプということですね。
一方で、パワーアンプはClassDでは無いところが、従来のソリッドステートアンプ的なキャラも持っていそうです。
更に、REC OUTではアンシュミとキャビシュミの音を出力することができます。
つまりたった3万円でキャビシュミ+アンシュミと、FRFRスピーカーの両方共に使えるアンプを手に入れることができるということですね!
ということで特に欧米では様々なジャンルのミュージシャンが実用できるアンプとして大人気になっていることに納得しました。