BOSS BP-1Wの各ブーストモードの歪を計測してみた!NATとREとCEの歪み方の違いは?
前の記事ではBOSSから発売されたBP-1W Booster/Preamp の周波数特性を各モード(NAT/RE/CE)で確認してみました。
そこで今回はRE/NAT/CEの各モードにおいてGAINツマミを変化させながら発生する倍音を周波数分析(FFT)ソフトを使って調べてみます。
つまりBOSS BP-1Wはどのような歪みを発生させるのかを確認します。
今回も1KHz の正弦波(-10dbV)を入力しますが各モードで音量差が出ますので計測時に-10dbV(つまり入力と出力が同じ音量)になるように、BP-1WのLEVELツマミを調整します。
2Khz、4KHz、、、を偶数次倍音、3KHz、5KHz、、、を奇数次倍音と説明しています。
BP-1Wのバッファの倍音分析
バッファでの倍音分布です。
2Khzに倍音が出ていますが-90dbなので聴感上は入力と出力は同時音になると思います。
BP-1W NATモードのFFT
NATモード GAIN=0
バッファと殆ど変化がありません。しかし僅かにノイズレベルが上昇していますが、逆に言えばWAZAバッファはやはりローノイズであるということが言えるとおもいます。
NATモード GAIN=2.5
NATモードGAIN=5
NATモードGAIN=5でも殆ど代わりまんね。
つまりNATモードはBOSSの説明通り自然なクリーンブースターであると言えるとおもいます。
NATモード GAIN=7.5
GAINを7.5まで上げても、ほぼ歪んでいないということで、NATモードはクリーンブースターということですね。
NATモード GAIN=10
ほんの僅か3Khzが増えてきましたが、-90dbあたりですのでc聴感上は殆ど変わらない筈です。
やはりNATモードはクリーンブースターということですね。
NATモード GAIN10で更に入力+10db
次は入力レベルを上げて無理やり歪ませてみました。
BP-1Wの前にもう1つ+10dbブースターを直列接続したと思ってください。
するとこのように偶数次倍音と奇数次倍音が出てきましたね。
つまり飽和状態になっているということですが、TubeScreamerのように3奇数次倍音だけが出ているのではなく偶数次倍音も出ていますので、おそらくディスクリート回路で構成されている可能性が高いと思いました。(間違っていたら申し訳ありません)
この時のオシロ波形はこんな感じです。
やや非対称に見えますので、二次倍音が発生しているわけですね。
BP-1W REモードのFFT
次はREモードにしました。
REモード GAIN=0
REモードでのGAIN=0では歪んでいませんね。
REモード GAIN=2.5
GAIN=2.5でも歪んでいませんね。但し、前の記事で調査しているように、周波数特性としてはミッドレンジが豊な音になっています。
REモード GAIN=5
3Khzの3KHzの三次倍音が出てきました。歪はじめたということですね。
REモード GAIN=7.5
偶数次倍音も奇数次倍音が更に現れました。
但しEQ的にはハイはブーストされてなくミッドブースターですので聴感上では音に所謂ツヤ(非常に曖昧な表現ですが)と言われるものが追加されていると表現されるかもしれません。
REモード GAIN=10
いきなり倍音が急激に増えました。
これは飽和状態になり波形の上下がクリッピングされているという状態だと思います。
こちらがその時のオシロスコープ波形です。
REモード GAIN10で更に入力+10db
GAIN=10の状態で、+10dbのブリブーストした結果をみてみます。
5KHzから10KHzの倍音の割合が増え、10Khz以上の倍音が相対的に減っていますね。
やはりREモードはミッドブースターということですね。
でこの結果を見ると、REモードで歪ませた時の倍音はNATモードを無理やり歪ませた倍音構成と似ているようです。
つまり再び予測ですが、REはNATモードの回路をゲインアップし、ハイとローをカットしているのではと予測しましたがいかがでしょうか?(こちらも間違っていたら申し訳ないので、あくまでも私の予測なので信じないでくださいw)
BP-1W CEモードのFFT
最後はCEモードのチェックです。
CEモード GAIN=0
CEモードはNATモードとREモードとは違い、GAIN=0から歪んでいるようで2KHzの倍音が強く出ています。
3KHzの倍音も出始めていますね。
ということでCEモードはNATやREモードと異なる回路、あるいは、NATとREモードの回路に歪を発生する部分が追加されていると言えるかもしれません。(これもあくまでも予測です)
CEモード GAIN=2.5
GAIN=0と倍音がほぼ同じですね。
つまり回路としては飽和していないということですね。
よってREモードはそもそも歪率が悪いレトロな増幅回路を通過しているのではと予測しました。
CEモード GAIN=5
GAIN=5でもまだ同じです。
CEモード GAIN=7.5
倍音が豊になってきました。
回路の飽和が始まりかけているということですね。
CEモード GAIN=10
偶数次倍音と奇数次倍音の割合が逆転しました。
その時の波形がこちら。
CEモード GAIN10で更に入力+10db
でCEモードでもGAIN=0で+10dbのプリブーストで確認したのがこちらのFFTです。
これらの結果からREモードも飽和させるとNATモードやREモードと同じような倍音構成になっているようにv見えます。
ということで、FFTでの一連の確認は以上ですので、このテストでの私の予測をまとめてみます。
- NATモードはクリーンブースターの回路。
- REモードはNATモードをゲインアップした回路でGAIN=5以上で歪が出始める。
- CEモードはNATモードの前段にレトロな増幅回路を追加し偶数次倍音が出てくるようにしたものかも。
- REモードもCEモードもGAIN=5以上で飽和し始めるので、いずれもモードも倍音を活かすためにはGAIN-5から7.5あたりが美味しい。
- いずれのモードもGAIN=10は回路の飽和による荒れた倍音が楽しめる。
いかがでしょうか?あくまでも予測です。
ということで、最後に前の記事でテストした周波数特性と今回のFFTのテストを合わせて考察してみます。