Guyatone WAH FUZZ FS-5が送られてきた!!
巨大なビンテージペダルGuyatone WAH FUZZ FS-5が送られてきた
@ikisugita-DIYさんからご自身が所有されているGuyatone WAH FUZZ FS-5のオクターブファズ部だけをを実戦で使いたいというペダルをご依頼をいただきました。
FS-5はその名の通りワウ+ファズというエフェクターで70年代の製品ということです。
当時のGuyatone製ということで当然Made in JAPANということですね。
ググってみますと、当時のGuyatone WAH-WAH FS-4というワウペダルにファズを搭載したペダルらしいです。
金属製の筐体はとても重く、巨大で、さすがにこれをボードに入れて持ち歩くのは現実的でないですね。
早速試奏してみると、さすがにビンテージらしく、スイッチやジャックも若干不安定なのでもし使うにしても大幅なメンテが必要そうでした。
ただ、オクターブファズの音は素晴らしく、アタリ個体であることもあってこれを実戦で使いたいということは納得です。
こちらがこの個体の持ち主である、ikisugita-DIYさんの試奏動画です。
Guyatone WAH FUZZ FS-5の基板と回路を観察
で早速実機を送っていただきましたので、基板を観察しました。
Made in Japanで当時の秋葉原などで普通に手に入るカーボン抵抗、電解コンデンサ、マイラのフィルムコンデンサで組み立てられていますね。
オシロスコープで信号を辿って行くと入力から初段は2SK30AのFETで増幅された後BLANCAポット(原音ミックスではなく単純なボリューム)で音量が調整された後に3個のNPNトランジスタによるFuzz回路に入力されるようです。
ということで、https://www.diystompboxes.com/ のこちらのスレッドでUNIVOX SUPER-FUZZとIbanez Standard WAU-FUZZのオクターブファズの回路図比較のスレッドが立ち上がっていますが、その定数と一致することを確認しました。(Guyatone WAH-FUZZ のOEM供給版がIbanez WAU-FUZZということですね。)
ジャパニーズオクターブファズの源流はHoney>Shin-Ei
この回路の源流を調べてみたところ、JHS PEDALSが販売しているLEGENDS OF FUZZシリーズの1台であるSUPLEME 1972 JAPANというペダルの製品ページにたどりつきました。
- 1960年代後半、日本は素晴らしいペダルメーカーによるイノベーションで溢れてたが、この時代で最も人気のあるエフェクターの1つが、Univox Super-Fuzzである
- このエフェクターはオクターブファズで、歪んだ音と一緒に高域のオクターブが追加されるエフェクターである。
- 最初にHoney Psychedelic Machine(1967)と呼ばれる大型アンプヘッドサイズのマルチエフェクトユニットに内蔵されて製造され数か月後にHoney Baby Crying Effectと呼ばれる単独ペダルとして発売された。
- Honeyはその直後にShin-Eiとなり、1968年までに日本のギターペダルの大手となりアメリカのUnivoxなど、数十のブランド向けに同じ回路をOEM製造した。
- The Whoのピート・タウンゼントによってUnivox Unicord Super-Fuzz が有名になった。
- ピート・タウンゼント、ブラック・キーズ、ホワイト・ストライプス、ビースティ・ボーイズ、マッドハニーのクラシックなオクターブ・ファズ・サウンドを再現したいなら、このペダルが最適である。
JHS PEDALS のLegend Of Fuzzシリーズは、これまでに作られた最も重要なファズ回路へのトリビュートとしてのレプリカシリーズということでFuzzFace、ToneBender, BigMuffに加えて、日本の技術者が設計した回路が同等に扱われているのは素晴らしいことですね!
ということで、Honey Baby Crying Effectでググってみると、エフェクター写真館のサイトでその回路図がでてきました。
この筐体内部に貼られている回路図を見ると、UNIVOX SUPWR-FUZZとほぼ同じですね!
さらに、TONEHOMEのサイトによれば1970年代のShin-eiは FY-6 Super Fuzzに名称を変えて引き継がれていることもわかりました。
ということで、このレジェンドのオクターブファズ回路でペダルを制作させていただくことになりましたので、次の記事でまずはこの回路のシミュレーションを行ってみました。