#GUYATONE-WAH-FUZZ-FS-5

Guyatone WAH FUZZ FS-5 オクターブファズのシミュレーション


前回の記事で、Guyatone WAH FUZZ FS-5 のオクターブファズ部を抜き出したペダルを制作することになった経緯などをご説明いたしました。

Guyatone WAH FUZZ FS-5 シミュレーション回路

とりあえず、トランジスタは2SC1815でシミュレーションしてみますが、回路をざっと見る限り次のようなセクションで構成されているようです。

Guyatone WAH FUZZ FS-5 シミュレーション回路

初段ブースター回路のシミュレーション

まずは初段のFETによるブースター回路をシミュレーションしてみました。

入力信号はp-pで最大200mVの1KHzの正弦波にしています。

Ibanez WAU-Fuzz (Guyatone WAH-FUZZ)回路シミュレーション:初段ブースター
Ibanez WAU-Fuzz (Guyatone WAH-FUZZ)回路シミュレーション:初段ブースター

約20db程度の増幅をしているようで、プラス側は2V程度まで増幅する一方でマイナス側は-1.5Vあたりで飽和しているようで、非対称の波形になるようです。

フェイズスプリッター回路のシミュレーション

フェイズスプリッター回路は、入力信号に対して正相と逆相を得る基本的な回路のようですので、こちらを参考にしてください。

Ibanez WAU-Fuzz (Guyatone WAH-FUZZ)回路シミュレーション:フェイズスプリッター
Ibanez WAU-Fuzz (Guyatone WAH-FUZZ)回路シミュレーション:フェイズスプリッター

下の図でCollector出力が逆相、Emitter出力が正相の波形を出力しますが、この回路でも入力信号が大きくなると飽和していますね。また正相と逆相でアンバランスになっていますが、この飽和とアンバランスがあることでオクターブファズとして成立することになります。

差動増幅回路のシミュレーション

次に差動増幅回路のシミュレーションですが、ここで正相/逆相の信号をミックスすることになりますが、仮にオーディオ的に正しい設計が行われると、両方の波形をミックスすると打ち消しあうことになります。

しかし、FS-5のフェイズスプリッター回路で出力では正相と逆相がアンバランスな波形になっていますので、その差分が増幅されることになります。

差動増幅回路のついてはこちらを参考にしてください。

このように、スプリッター回路から出る正相と逆相の出力を差動増幅回路を通すと入力信号に対して2倍の周波数の出力が得られていることが判ります。

しかしこの波形はp-pで3.5Vを超えています。これを、ゲルマニウムダイオードによって±0.3V程度でクリッピングする回路を通しますので、めっちゃクリッピングされた結果の波形ということになります。

EQ フィルタ回路のシミュレーション

次に抵抗とコンデンサを組み合わせたフィルタ回路によってEQがかけられます。

こではEQですので、周波数特性をシミュレーションしてみます。

Ibanez WAU-Fuzz (Guyatone WAH-FUZZ)回路シミュレーション:EQ
Ibanez WAU-Fuzz (Guyatone WAH-FUZZ)回路シミュレーション:EQ

このペダルでは2つ目のフットスイッチでFUZZ TONE CHANGEをONすることができます。
ONにすると、上の回路でのC9の0.1μFのコンデンサをONにすることで、EQのカーブを変更することになります。

OFFでは1Khzに小さい谷がある特性で、ONにすると800Hzあたりを極端にカットするEQになるようですね。

なのでON状態では中域をバッサリカットされた、ジャリジャリサウンドが出るということになります。

一応ですがその時のフィルタ通過後の波形はこんな感じです。

Guyatone WAH-FUZZ FS-5のシミュレーションまとめ

最終的にこのペダルの回路の入出力をシミュレーションしたのがこちら。

Ibanez WAU-Fuzz (Guyatone WAH-FUZZ)回路シミュレーション:入出力信号
Ibanez WAU-Fuzz (Guyatone WAH-FUZZ)回路シミュレーション:入出力信号

ということで、更にまとめるとこんな感じで信号が加工されてる回路ということになります。

Ibanez WAU-Fuzz (Guyatone WAH-FUZZ)回路シミュレーション
Ibanez WAU-Fuzz (Guyatone WAH-FUZZ)回路シミュレーション

ということで、シミュレーションが完了したので、次はテスト用基板を作って確かめてみることにしました。





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